先日、自分の会社のサイトデザインをリニューアルして、プライステーブルというやつを導入しました。これを導入したきっかけは……
- これまで、なにやら難しげな依頼をされることが多かった
- ではお会いして話しましょうとなり、いろいろ話を聞いた結果、「こういうソリューションでどうでしょう」と結論を出すのだが、時間かかる
- うまくいかなくても時間かかるし、うまくいっても時間かかる
ということで、今後はいわゆる「メニュー」を拡充していき、「提供するサービスはこれ! お値段は松竹梅! 質問はいっさい受け付けない!」という風にしたいなあと思い、一目瞭然のプライステーブルを導入してみたわけです。
はじめは自分で作ろうと思っていたのですが、なんかそれっぽいプラグインEasy Pricing Tableを見つけたので、それを使いました。
それでですね、ちょっと感心したのは、このプラグイン、プライステーブルの「プラン名」のところに、こんなサジェスチョンが出るんですよ。

これを直訳すると、こんな感じです。
ここにプラン名を入れてください
ベストプラクティス:
ブロンズ、シルバー、ゴールドといったどうとでも取れる名前を避けてください。
その代わりに、個人向け、小規模オフィス向け、企業向けといった、目的のはっきりした名前を選びましょう。
多くの人は機能ではなく、名前でプランを選びます。企業に属する顧客はたとえ個人向けプランで十分だったとしても、「エンタープライズプラン」を選ぶのです。
どうですか。へー、そうなんだという感じじゃないですか。「そんなやついねーよ、馬鹿じゃねーの」と思うかもしれませんが、専門外の領域だと誰でもそういうところありますし、わかんないもんですよ。
名付けの自動化はもうすぐできそう
先日、CMSプロレスというイベントに参加して無残にも敗北したのですが、そのときWP-CLIの紹介をしたんですね。
WP-CLIというのは、WordPress界隈で最近話題のツールで、要するにコマンドラインからWordPressの操作ができるという代物です。

これだけだと「だからなに?」という程度のものなのですが、このツールの肝は「自動化しやすい」という点にあります。
たとえば、「これだけは入れておけ! WordPress特選プラグイン10選」みたいなエントリーが上がって「またかよ」とか思うこと多いじゃないですか。
しかし、定期的に話題になるということは、この世界で繰り返しAll in one SEO packとかをインストールしている人がいて、その作業自体は大した時間もかからないんですが、1,2分はかかってますよね。チリも積もればマウンテンなわけで、200回インストールしたら、合計で3時間を超えます。が、自動化してしまえば、基本的に人間が支払う時間的コストは限りなく0に近づきます。
プラグインのインストールが自動化対象として適切かどうかはさておき、たとえば1万個のサイトにそれぞれ10個のプラグインをインストールしなければならないような状況が訪れた時、人力でやったらいつまでたっても終わらないですが、パソコンにやらせればすぐ終わります。
で、ですよ。上にあげたような「プライステーブルのプラン名」なんかもすでに「こうしておけば大丈夫だろ」という回答は存在するわけですよね。ベストではないかもしれませんが、グッドではあるわけです。
シーナ・アイエンガーの『選択の科学』でも、「20数個のジャムを選ばせると誰も買わないが、7個ぐらいにしておくとみんな選べる」というような実験が紹介されていて、「そんなにたくさん選択肢あっても選べないよ」ということはある程度実証済みなのです。
そうすると、なんかプラン考えようってなった時に、それなりにいい感じの名前がすでにあって、それでもなお自分でなにか考えたいときは「勝手に考えると〇〇円損するかもしれないけどいい?」とかいうポップアップが出てきたら最高ですよね。
新しいことをしたいのならば、それなりのリスクテイクを選び、そこまでの決意がないのならば唯々諾々と「賢いデフォルト」に従う。そんな未来も悪くないんじゃないかな、と思いました。まる。
価格¥2,200
順位37,433位
著シーナ・アイエンガー
翻訳櫻井 祐子
発行文藝春秋
発売日2010 年 11 月 12 日