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不払いクライアントの未収金を成仏させる方法

高橋文樹 高橋文樹

この投稿は 12年 前に公開されました。いまではもう無効になった内容を含んでいるかもしれないことをご了承ください。

 

先日、売掛金回収!少額訴訟してみたよ。という記事を面白く読みました。まず最初に、「あれ、このブログって中の人内緒なんじゃなかったっけ? 戦隊モノという設定はどこへ?」という疑問が浮かびました。

が、よくよく読んでみると同じく受託を請け負う身として共感を覚えたので僕なりの意見を書こうと思います。僕のスペックはこんな感じです。

  • 会社経営も一人しかいないのでほぼフリーランスと同じ
  • 未収金(納品したのにお金貰ってない)は創業2年ちょいで100万ぐらい
  • そこまで稼いでないが、食うに困るほどではない
Vernichtung von Papiergeld
やだ、私の未収金多過ぎ?

少額訴訟裁判の落とし穴

だいたい少額訴訟にいたる人というのはこんな精神状態を経ると思います。

  1. なんか案件進行時からなにかがおかしい……
  2. 納品したのにクライアントがお金を払わないムキー
  3. Google「Web制作 不払い」
  4. 法テラスに無料電話相談したのち弁護士と面談、あきらかにメンドクサがってる弁護士から「少額訴訟制度使えば?」と言われる
  5. 内容証明を送るも無視されてヒートアップ、少額訴訟に踏み切る

で、元エントリーにも挙げられていますが、少額訴訟にはこんな駄目な点があります。

  • 差し押さえる対象を知っていないとダメ。普通は銀行口座。
  • 差し押さえた日に相手の口座にお金が入っていなかったらダメ。ところがどっこい、不払いになるようなクライアントは大抵お金を持っていない。
  • 地味に細かい費用(交通費とかなんか)がかかる。
  • 相手に通常訴訟への移行権があるので、こじれている場合は無駄に本気の裁判をやるハメになる。

余談ですが、内容証明郵便は「受け取り拒否を裁判の証拠として提出できる」という利点があるため、裁判に移行する前の果たし状としてよく送られますが、これは相手が不在の場合、不在通知表を残して終わりです。で、相手が不在通知表を見て郵便局に再配達依頼をしなかった場合、どうなるかというと、なんと戻ってきます。1500円ぐらい払ったんだからリトライしましょうよ! と郵便局の人に言ったんですが、そういうもんらしいです。これは制度的な欠陥だと思うのですが、いかがでしょうか。

少額訴訟に行く前に

裁判でサクッとお金を回収できればそれでいいんですが、そうはならないケースが結局は多いので、次善策のようなものを紹介していきたいと思います。僕が実際にやったのもありますし、やってないもの、傍目で見ていて「これはよさげやで」と思ったものなどを含んでいます。

ケース1. 相手が明らかにお金を持っている

あまりないと思いますが、相手がお金を持っている場合を想定します。現代はFacebookやTwitterなどのバカ発見器が発達しているので、よく観察していればお金を持っているかどうかはすぐにわかります。この場合に有効な手段を紹介します。

取り立てメソッド1. 直接会社に行く

メールも返信無し&電話出ない→訴訟ということを考えてしまいがちですが、直接行くと解決する場合が多いです。これは弁護士の方も言っていたのですが、いきなり来る人はあまりいないので、解決することが多いそうです。みんなシャイなんですね。

先方としても迷惑きわまりないので、毎回やられたら嫌ですね。会社の受付で待機、担当者に会えたら「来ちゃった♡ 少額でもいいからいますぐ払ってくれないと帰らないゾ」と言いましょう。普通怖くて払います。で、「また来るね」とでも言い残しておけば、翌月から分割で振り込まれるでしょう。

なお、このメソッドを成功させるためには喧嘩強そうのアビリティが必要です。女性は知り合いとかに同伴してもらってください。

取り立てメソッド2. 社長の自宅に行く

相手が会社の場合(ほとんどそうだと思いますが)、会社に行ってもいないことがあります。その場合、相手が登記している自治体の法務局で検索すると、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)というのが手に入ります。ここに社長の自宅の住所が書いてあります。あとはメソッド2と同じです。「へー、まだ小さいお子さんがいるんですね」とか言うと恐喝で捕まっちゃうので気をつけてください。

取り立てメソッド3. 取引先に凸

大体の会社は取引先があります。また、代理店を通した仕事だった場合は、発注元もわかるでしょう。これは電話とかでもいいと思いますが、ポイントとしては取引先に敵意を見せないことですね。「困ってるんですよ〜。A社さんの連絡先ご存知でないですかね〜」という感じで卑屈に行きましょう。取引先は敵ではないので。

不払いを決め込んだせいで他の仕事に影響がでるのは損なので、ここまでやれば普通レスポンスがあると思います。ちなみにですが、バッくれた人に取引先への売掛金があった場合、それは差し押さえ対象にできます。

ケース2. 相手がお金持ってない

さて、ケース1はどちらかというと希有な方だと思います。勝負は常に揺蕩たゆたっているというか、お金持っているといっても微妙に足りなかったり、持っていても他のことに使いたかったり、色々ですが、払わない人は持っていないから払わないのです。

ではみんながみんな闇金ウシジマくんみたいになれるかというと、そんなことはないので、別の方法を考えます。

メソッド1. 別の方法で払ってもらう

相手が今現在お金を持っていないのであれば、別の方法で支払ったことにします。たとえばあなたがデザイナーで、小さな代理店から受けた仕事で30万の不払いが発生したしましょう。この場合、怒りを収めつつ、毅然とした態度で別の支払い方法を提案しましょう。

例を挙げると、「30万の案件1個を40万で請求します、10万は返済に充てたことにするのえ、3個案件紹介してがんばりましょう」みたいな感じです。遅延損害金などを年利17%(法定金利MAX。正確な値はおググりください)ぐらいに設定しておくと、相手もちょっとはがんばるんじゃないでしょうか。

メソッド2. タダで働いてもらう

これはメソッド1と似ていますが、自分の労働を現金に換えられないタイプのクライアントだった場合、労働を対価と考えます。あなたが何か事業を運営しているのであれば、その仕事をタダでやってくださいと伝えます。相手が自分にない強みを持っているなら、それを無料で提供してくださいと主張しましょう。たとえば相手がPR企業であれば、無料で俺をPRしろと伝えます。現物を持っていれば現物至急でもいいですね。

メソッド3. 水に流す

これはウルトラCですが、チャラにしてあげます。そのかわり、「あなたが成功したら、なにかください」と伝えます。何も返ってこない可能性が高いですが、何か返ってくるかもしれません。

なにも返ってこなかったらFacebookなどで先方の名前を伏せつつ(←重要)不幸体験談としてシェアするといっぱい「いいね!」がつくかもしれませんし、「いい人だなー」と知名度が高まるかもしれません。「そんなひどいことがあったんだ! じゃあこういう素敵な案件を紹介してあげるよ」という奇特なクライアントが表れるかもしれません。

日本の法律上、基本的には払い逃げの方がやりやすいです。逃げられた方としては「逃げるのは損」という状況を作り出すか、別の逃げ道を用意してあげるのが解決に繋がる道ではないでしょうか。

不払いの憂き目をみないためには

そもそも論になってしまいますが、「不払いになってしまうのは不払いになる案件を受けたからだ」と言うことができます。こうした案件のヤバさを見極めるのも、商売の秘訣です。僕が個人的に感じたリスク要因は下記の通りです。

  1. クライアントまたは代理店が同種の案件を一度も発注したことがない → ビジネススキルがヤバい
  2. クライアントが新規創業であるか、儲かっていない → キャッシュフローがヤバい
  3. 発注額が大きく、発注者(特に代理店)にその額を担保する能力がない → 保証能力がヤバい
  4. クライアントが法人なのにオフィスがない、Webサイトを持っていない、またはメールがGメール → 連絡先がヤバい
  5. 料金を一部前払いにしようとするとキレる → 忍耐力がヤバい

上記に気を付ければおおよそ大丈夫だと思います。特に3のケースは要注意ですね。僕の場合は支払いで揉めたのは3のケース、代理店が自分の力にあまる案件を取ってきた場合がほとんどでした。

このケースは大抵、代理店がクライアントと揉めた(要件が思いっきり間違えていた、何かやらかして案件そのものが消滅してしまった、そもそも発注されていなかった)か、途中で資金繰りがショートして別のことにお金使っちゃったとかそんなところです。こういう場合、代理店にとって一番得なのは、「下請けに全部背負わせたバックレ」なので、事案として発生しやすいのではないかと思います。

結論:我も人なり、彼も人なり

不払いなどがあると相手の人間がとんでもない極悪人に思えてしまうものですが、ほんとの悪人というのはそうそういるものではありません。だいたい気まずくてバックレてるだけです。今日逃げたら明日はもっと大きな勇気が必要になるぞとはよく言ったもんです。

まれにキラキラした瞳で大嘘をブッこき続けるサイコパスみたいな人もいますが、それはそれで貴重な人生経験なので、「こんな人間がいるんだ〜」ぐらいの気持ちで構えましょう。どんな出会いも一期一会、プラスに変える方法は一つぐらいあるものです。

というわけで、あんまり参考にならないかもしれませんが、終わります。

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