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プロに無償で仕事を依頼してもいい場合

高橋文樹 高橋文樹

この投稿は 9年半 前に公開されました。いまではもう無効になった内容を含んでいるかもしれないことをご了承ください。

「プロに無償で仕事を依頼するなんてけしからん!」という記事が定期的に話題になります。「友達だからといって」という条件がつく場合もありますね。

僕個人の意見では、「別にいいんじゃない?」というのが結論なのですが、どんなときによくなるのか、というのを箇条書きにしてみます。

  1. 動機や目的が素晴らしい
  2. 依頼者と僕の関係が深い、または魅了されている
  3. 隠し事をしない

3つしかないですね。では、それぞれについて説明します。

すばらしい目的や動機とはなにか

まず、無償で仕事をする場合、当然ながらその仕事はおごってあげているようなものです。たとえば僕ならWebサイトを作ってあげるとか、小説を書いてあげるというのがプロとして価値のある仕事だと思うのですが、まるまる一つサイトを作る場合、調査にかかる時間などを含めると中古の軽自動車一台プレゼントするぐらいの感じですね。

軽自動車をおごってもらったことがある人はあまりいないでしょう。となると、それぐらい大変なプレゼントとなりますので、それに見合った目的や動機である必要があります。

イベントで一回二回あった人から「すばらしいビジネスなんです、手伝ってください!」って言われても、「ほんとだすばらしいですね! 死ぬまでタダで働きます!」とはならないですね。「どうすばらしいのか、僕を説得してください」とお答えするだけです。そして、大抵は「別にすばらしくないですね」となります。

上場を目指しているとか、世界をよりよくしたい(←最近、これを言う起業家が多い)とか、そういうのは「すばらしい!」とは思わないです。「お腹減った!」「眠い!」となにが違うのか、という話ですよ。僕も世界が平和で満ち溢れて、戦争なんてなくなればいいのにって毎日毎時間、思ってます。

また、「困っている」というのもあまり食指がわきません。多かれ少なかれみんな何かに困っているからです。

一度、声に出して読みたい日本語「あ?」を言ったことがあるのは、知り合いのおじさんから、「ワンチャン狙ってる女がWebサービス立ち上げられなくて困っている、手伝って欲しい」と頼まれた時ですね。「ソープに行け」って思いましたよ。

というわけで、なにがすばらしいのかを明示するのは面倒くさいのでしませんが、軽自動車おごってやってもいいなと思えるぐらいすばらしい動機や目的があれば、無償で手伝いますよ。

魅力的な依頼者とは

魅力といってもいろんな種類がありますが、目的や動機がしょぼかったとしても、依頼者に対して僕が魅力を感じていれば無償でもいいですね。

たとえば、単純な魅力でいえば、「15年間の付き合いがある友人」とかですかね。僕にもそういう仲のいい友人が何人かいて、そういう人から「今度新しいビジネスを立ち上げることになった。Webサイトが必要なので作って欲しい。タダで」と言われたら、しょうがないからやってやりますよ。

知り合いじゃなくても、たとえば僕が尊敬している数少ない小説家である大江健三郎先生とかミシェル・ウエルベックとかから「私の小説の若い読者を獲得するためにWebサイトを作ってください。タダで」と言われたらやりますよ。1年ぐらいは無給でいいです。

友達といっても、Facebookでしかやりとりをしない元同級生や、仕事で知り合った人などからいきなり無償で依頼をされても、断る確率100%です。

隠し事をしない

当たり前ですが、嘘をつかれるのは嫌ですね。あと、曖昧なのもよくないです。人に無償で依頼をする以上、預金通帳を全部見せるぐらいの覚悟は欲しいです。

これは僕の持論なのですが、情報の開示は貨幣のような役割を果たします。

私小説やお笑い芸人の自分語りなどが「面白い」と思えるのは、当事者として取り繕わずに情報を開示しているからです(もっとも、「盛っている」可能性も大いにありますが)。逆につまらない人というのは、自分の情報を開示しようとせず、人の情報ばかりを聞きたがります。

僕は新規ビジネスの相談などをされることがよくあるのですが、やる気がなくなるのは、以下のパターンです。

  • バイアウトを目指しているのに、売り先のアテがあるのか、どれぐらいの額を目指しているのか、またはノープランなのかなどについて説明されない。
  • 既存ビジネスを拡張させる話などをしているとき、既存の売り上げがいくらなのか、サンクコストの根拠はなんなのか、どのようにして既存ビジネスの価値を上げていくのか、などの説明がされない。

まずは自分の情報をさらけ出してもらえると、こちらとしても「じゃあ僕もお手伝いしちゃおっかな」という負い目が生まれやすいです。

 

というわけで、プロフェッショナルワークを無償で依頼する方法について説明しました。

なんでもおカネがものをいう世知辛い世の中ですが、美しい無償労働に支えられていることもたくさんあります。一点注意することがあるとすれば、こうした無償労働はおまけみたいなものですね。特にビジネスを考えている方は、きちんとマネタイズできるモデルを模索することをお勧めします。

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