Doorkeeperのファウンダーがユーザーに向けて書いた「主催者の皆さまにご利用料をお支払いいただく理由」という記事に感じ入るものがあったので、僕も書いてみます。この記事は要約すると……
- Doorkeeperはイベントチケット販売システムだったが、無料でも利用することができた。
- イベント主催者の多くは当日払いか少額のチケットしか使わなかった。これじゃサーバ代も払えない
- 色々模索したが、主催者からお金をもらうのがベストだと感じた
というような感じです。おそらく苦渋の決断だったことでしょう。
勝ちパターンは高収益?
DoorkeeperはPeatixと同じくイベントプラットフォームですが、ここでPeatixは挙げられておらず、ATNDやdotsが挙げられていました。両方とも人材紹介企業(リクルートとインテリジェンス)が主催なので、ぶっちゃけイベントが赤字でもエンジニアを一人転職させられればそれで構わないわけですね。年収600万の人に転職させると、その30%以上の手数料が入るので。
他に僕が昔携わり、結果的にビジネスとして大成功した某イベント系サイトですと、そこはチケット単価がずっと高くて、Doorkeeperみたいに「参加費1,000円」とかそんなレベルじゃなかったですね。もっとずっと高かったです。
要するに、ある程度高収益体質じゃないと、こういうイベントのプラットフォームはうまくいかないんじゃないかと思いましたね、ハイ。
別のビジネスモデルを持つという選択
Doorkeeperのファウンダーは否定していましたが、僕はATNDやdotsのようなスタイルは「アリ」だと思います。
いまからDoorkeeperが転職サイトを始めるのが良いとは思いませんが、「なにかで上手くいっているプレイヤーが別のところで勝つ」っていうのは多いですよね。Amazon Web Serviceとかがそうですけど、Amazonは元々ホスティング会社じゃなかったんですが、業務上どうせ必要なので余っているサーバを使ってホスティングを始めたら超儲かった、と。
僕は小説を書いているわけですが、世の出版社の多くは文芸だけで儲けているというより、漫画雑誌や週刊誌などの別のビジネスがあって、その余剰金で文学をやっているというのが実態じゃないでしょうか。問題はその本業が儲からなくなりつつあることなんですけど。例外はKADOKAWAのラノベぐらいですかね。もし僕に他の収益源があれば、たとえば小説を無料で売り出すこともできるわけですし、強気のプロモーションも打てます。
しかし、そんなホイホイ儲かることが思いつくかっていうと、それはそれで難しいんですけどね。これまでの経験から、人間の根源的な欲求に根ざしたサービスの方がお金を取りやすいなと感じます。
- 健康に関するもの(健康でいたくない人間はあまりいない)
- 性に関するもの(婚活とか出合い系とか)
- 食に関するもの(食べるのが嫌いな人はあまりいない)
- 仕事や人材の斡旋に関するもの(奴隷商人は古くからある仕事)
- 教育に関するもの(教育に対しての投資は親の財布から出る)
こんな感じですかね。上に挙げたジャンルの方が商機多いですよ。僕はこれまで本をまったく読まない人に沢山あってきましたが、飯をまったく食わない人には一人しか会ったことがないです。しかも、そいつも隠れて飯くってましたからね。
そんわけで、最近、フリーミアムで始めた幾つかのWebサービスが機能制限したり値上げしたりするのをよく見る(ような気がする)ので、世界の潮目がなにかしら変わりつつあるのかもしれません。終わり。
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著クリス・アンダーソン
監修小林 弘人
翻訳小林 弘人, 高橋 則明
発行NHK出版
発売日2016 年 4 月 22 日