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2011 年 3 月 4 日 2,304日前)
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もうすぐ絶滅するという紙の書物について
もうすぐ絶滅するという紙の書物について

かなり前ですが、「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」という本をジャケ買いならぬ装丁買いをしたので、その感想を書きます。

帯に書いてある「電子書籍」はほとんど出てこない

まず、この本の帯に「紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?」と書いてあり、タイトルもあれなので、てっきり電子書籍本かと思ってしまいますが、あんまり関係ありません。ちょろっと触れているところもありますが、基本はウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエール(フランス人映画脚本家)の古書コレクション自慢話です。そういう点で、電子書籍本だと期待して買うと後悔するかもしれません。

もっとも僕が買った目黒の文教堂だったかどこだかでは「海外文学」の棚に刺さっていたので、間違えて買う人も少ないかもしれませんが。

基本的にエーコおよびカリエールの態度は以下に挙げるように「書物というものは車輪と同じように完成された発明品である」という意見が繰り返されます。

物としての本のバリエーションは、機能の点でも、構造の点でも、五百年前となんら変わっていません。本はスプーンやハンマー、鋏と同じような物です。一度発明したら、それ以上うまく作りようがない。ウンベルト・エーコ, ジャン=クロード・カリエール「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」2010, 阪急コミュニケーションズ, P.24

ただ、面白いのは「自宅が火事になったらどうするか」という質問に対し、エーコがこんな風に答えているところですね。

書物の話をさんざんしておいてなんですが、私の場合、今まで書いたもののすべてが入っている、二五〇ギガの外付けハードディスクを持って逃げますね。前掲書, P.59

エーコはかなり早くからパソコン使って原稿を書いていたりしたらしく、そういう意味では割り切って新しいものを取り入れていってるみたいですね。ちなみに僕は自分の書いたすべての原稿をMacbook + Dropbox + TimeMachineで3時間ごとネットワークHDDにバックアップ + 最終稿を印刷して天袋に保存しているので、自宅が全焼してDropboxが潰れない限りは大丈夫でしょう。

グーテンベルク以降と以前

書物とはいったい何なのかという根源的な問題を考える上で、グーテンベルクによる活版印刷術の発明以降と以前を比較するのはとても有効だと思うんですが、そうしたことに関するヒントが幾つか得られます。マクルーハンなどにもちょろっと言及しているので、そういうことに興味がある人は以前言及した「グーテンベルクからグーグルへ」と併せてオススメです。

また、世界に48冊しかないという古書マニア垂涎の「グーテンベルク聖書」が日本に1冊ある話なんかも出てきます。今慶應大学のサイト慶應本グーテンベルク聖書で公開されているので、見てみると面白いかもしれません。パッと見、一昔前のテキストサイトみたいな見映えですが、内容は本物ですよ。

博覧強記のエーコもダン・ブラウンは嫌い?

基本的にこの本はエーコとカリエールの博学に「へー」っと感心しながら読むものなのですが、何度かダン・ブラウンをDISる(といっても、軽く揶揄する程度)場面がありました。

やっぱり、ダン・ブラウンを一躍世界的作家にした「ダヴィンチ・コード」はエーコの「薔薇の名前」とネタ的にかぶるところがあったから、嫌いなんですかね。

そいうえば、先日J-Waveを聞いていたら、「レディー・ガガがマドンナの曲をパクった」という話題が出ていて、それについてクリス・ペプラーが「マドンナはわりと寛容だけど、レディ・ガガは自分とキャラがかぶっているから許さないかも」というようなことを言っていました。ここら辺、下衆の勘繰りかもしれませんが、エーコとて人の子かという感じです。

装丁がかっこいい

さて、この本を買ったのは装丁がかっこよかったからです。黒いカバーに銀箔押し+ウンベルト・エーコというだけでもかっこいいのですが、写真にあるように、小口の部分が青く塗られているんですね。

カバーを外しても黒字に銀
カバーを外しても黒字に銀
小口の部分が青い
小口の部分が青い
1ページずつ染まり具合が違う
1ページずつ染まり具合が違う
このランダム加減がモノっぽい
このランダム加減がモノっぽい

しかもこれ、インクに浸したような感じでランダムな塗り方になってます。一ページごとに違うんですね。どうやって作るのかは知りませんが、束に束ねてインク壷に浸すんでしょうか。手作業でやってたら面白いですね。何万部も売れる本じゃないだろうから、手作業でもいけるのかもしれません。

今の時代、文字情報は必ずしも本でなくてもよくなりました。Webは巻物みたいで見辛いという意見をたまに目にしますが、巻物と冊子の違いが出ないぐらい短い文章等も世にはありますので、書物の特権が剥奪されたことは間違いありません。ある程度のボリュームを持った本はこれからより「物っぽさ」をまとって、差別化を図っていくことでしょう。これからは装丁に凝った本が増えてくるんじゃないでしょうか。装丁に凝った本がずらりと並ぶ書店というのを想像すると、革命前夜というか、明ルサハ滅ビノ姿デアロウカというか、胸がソワソワしますね。

というわけで、ご興味ある方はご一読を。

もうすぐ絶滅するという紙の書物について

もうすぐ絶滅するという紙の書物について [書籍]

著者ウンベルト・エーコ, ジャン=クロード・カリエール

クリエーター工藤 妙子

出版社CCCメディアハウス

出版日2010 年 12 月 17 日

商品カテゴリー単行本

ページ数472

ISBN4484101130

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この記事はが2011 年 3 月 4 日に読書日記の記事として公開しました。

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