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高橋文樹 高橋文樹

僕は海外のカンファレンスか何かに参加している。おそらく東南アジアのどこかの国だ。宿の予約がギリギリになったので、あまり綺麗ではないホテルに宿泊することになっている。部屋のテレビをつけると、ホラー映画がやっている。その映画の中で映っているのは明らかにいま僕が泊まっているホテルで、ドキュメンタリー風の手振れが多い映像だ。これはほんとうにあったことなのじゃないか、と僕は思う。映画の中では少女が順番に並ばされていて、シクシク泣いている。先頭の少女が突然剃刀のようなもので首を切られる。ちょっと切るというのではなく、首をどんどん切り開いて、中の血管を取り出している。後ろにいる少女たちは自分達が同じ運命を辿ることを受け入れているのか、嗚咽を漏らしながらも逃げ出さない。

僕はその映画があまりにも堪え難かったので、テレビを消し、ベランダから外を見下ろす。と、斜向かいの建物の前に男が四人いる。正確には二人組が二つで、片方の二人組は東南アジアの格闘映画に出てきそうな強面、もう二人は大人しそうな陰キャといった風情だ。屈強な二人は斜向かいの家から明らかに人間の死体が入っていそうな黒い袋を運んで、ゴミ収集車に放り込んでいる。大人しそうな二人組はそれを見て「あれ、死体じゃないか?」と怯えている風だ。

僕はその場面を目撃していたことを知られるのを恐れ、ベランダに伏せる。が、伏せる瞬間に見られてしまったのではないか、ということが不安になる。早く逃げようとホテルの部屋に出るが、陰鬱そうな顔をした美しい白人の少女が、言葉が通じないながらも僕をいざなってくれる。僕は、その少女が先ほどの映画に出ていた、首を切られる列に待っていた少女だと気づく。

少女に連れられて外に出て、道を走っていると、僕はとつぜん少女にどんと押され、路地のようなところに入る。少女はそのまま走り去っていった。僕は少女に助けられたのだろうかと安心したが、建物の二階によじ登って身を隠し、先ほどの二人組を見る。遠くから見た限りでは、大人しそうな二人組のうち一人はナイフで刺されて殺されているようだった。僕は彼ら二人だけの犠牲ですみますように、と祈る。大人しそうな二人組のうち、髪の長い方は必死で走って逃げたが、屈強な二人組のうち肌の黒い方が凄まじい勢い——人間とは思えない速度——でラリアットのような攻撃をすると、長髪の男は胴体が真っ二つになり、道にバシャっと血のあとがついた。人間ではないのだ。肌の黒い男は二つになった胴体を拾い上げると、ゴミ収集車の方に向かっていった。しかし、キョロキョロと辺りを見回しているので、もしかしたら僕のことも探しているのではないか、と思う。

久々に二度寝できなくなるほどの悪夢を見た。やはり寒い時期に床で眠るべきではない。

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