先月のCourier Japonで瀧本哲史さんを知ったのですが、書名があまりにも素晴らしかったのでパクりました。
価格¥1,980
順位8,212位
著瀧本 哲史
発行講談社
発売日2011 年 9 月 22 日
さて、本題です。結論から申し上げますと、僕のサイトの電子書籍を宣伝してくれた方には1冊売れるたびに50%以上を差し上げることにしました。要するに、アフィリエイト機能ってことですね。
詳しくは「ハムスターに水を」などの詳細ページをご覧下さい。1,000円以上を超えたら管理画面から申請していただくと、翌月10日に振り込みます。成果を眺めてニヤニヤするための管理画面もがんばって作りました。ヘッダーの「MENU」から飛べます。
バグがあったらごめんなさい。
アフィリエイト機能開発の経緯
僕のサイトでは自ら電子書籍を売っていますが、まったく売れないので色々と方法を模索しています。で、以前Google Adwordsを試したことがありました。その際の成績が以下の通りです。2ヶ月ぐらい掲載していました。
クリック数 | 868 |
---|---|
表示回数 | 4,549,470 |
クリック率 | 0.02% |
平均クリック単価 | ¥40 |
総額 | ¥34,662 |
1回のクリックを40円で買ったことになります。結果だけ端的に申し上げると大赤字でした。
SEM(検索エンジンマーケティング)は単価が高くないとダメ
実はSEMの経験はあまりないので、もっと効果的なキーワードで出稿したり、ランディングページをカスタマイズしたり、できることは色々あるのですが、やったところで大した意味ないだろうなーという結論に至りました。
普通こういうクリック広告から来たユーザーのコンバージョン率(ページを見て買おうと思う確率)は1〜3%ぐらいで、かなり高いサイト(楽天の専門店とか)でも12%ぐらいだったような気がします。となると、ぼくのように電子書籍を数百円で売っている場合、Adwordsだと赤字が拡大する一方です。
実はSEOやSEMといった、「検索エンジンに対してコストを投下する広告」というものはある程度商品単価が高くないとダメということが言われています。一つの単価が安いにもかかわらずバンバン広告を打っているものはリピーターになるもの(ex. 健康食品)と言われています。
そういえば、Amazonは一時期「◯◯ならAmazon」という具合にあらゆるキーワードを買っていましたが(参考)、あれがずっと謎でした。「高橋文樹ならAmazon」とか出るんですね。ぼくはずっと「文庫1冊のために広告出したら損しちゃうんじゃないの」と思っていたのですが、Amazonの場合は「一度顧客になってくれた人はまたAmazonで◯◯円使う」ということがわかっているはずなので、広告費もそこから捻出しているのではないかと推察します。もちろん、大きな企業なのでGoogleとの契約も普通の出稿者とは異なるとは思いますが、アグリゲーターならではですね。僕のサイトの商品をすべて買ったとしても1,000円ぐらいなので、とても真似はできません。
Dropboxの事例を参考に
ファイル共有サービスにDropboxというのがあります。ここは有料サービスを展開しているのですが、あるインタビュー(URL失念)によれば、はじめAdwordsを使ってうまくいかなかったそうです。一人のユーザーを獲得するのに$400ぐらいかかっていたとか。そこでDropboxは「友達を一人紹介したら容量250MBプレゼント」というキャンペーンをはじめたそうです。TwitterとかやっているとDropboxを薦めるつぶやきを見ることがあるでしょう。
あのプロモーションは凄まじい成果を上げ、Dropboxに膨大な数のユーザーを与えたそうです。ユーザーが増えれば、有料サービスをやる人も増えますからね。ちなみに僕も有料ユーザーです。
本当は僕のサイトでもDropboxのようにお金以外の利便性を提供できたらいいのですが、僕には特にあげられるものがないので、お金をあげようと思いました。
好きな人ほど得をする
さて、コンテンツを収益化するにあたってよくあるのが「好きな人ほど金を払う」というプレミアムモデルです。信者モデルと言いかえてもいいかもしれません。最近の有料メルマガとかはこの信者モデルではありますが、僕にはたぶん向いていません。というのは、「好きな人ほどコストがかかる」のは変だなーと思うからです。好きな人ほど安くあがるというのが理想です。
このアフィリエイト機能の肝は面白いと思ってくれた読者が得をするという点です。もし僕の書いたものを面白いと思ってくれた人がブログでもTwitterでも紹介してくれれば、それを読んだ人は「面白そうだな」と思う可能性が高いでしょう。しかも、紹介してくれた人はお金まで入ってきます。50%なので、一作品自腹で買っても2人に売りつければタダです。
もちろん、「ほんとうは全然面白いと思っていないけれども売上を上げる人」も出てくるかもしれませんが、それはそれで特異な才能の持ち主ではあるので、別に構いません。また、ウルトラCとして「読んでいないのに人に買わせる」ということも可能ですが、優れた読み手はあたかもすべての本を読んだかのような顔をしているものなので、別にオッケーです。システムの仕様上、買わなくても宣伝できるようにしてあります。
価格¥190
順位159,413位
著ピエール・バイヤール
翻訳大浦 康介
発行筑摩書房
発売日2008 年 11 月 27 日
料率は何%にすべきか?
今回は50%という料率を設定していますが、個人的には80%ぐらいでもいいと思っています。他に広告費としてさくべき対象も見当たらないので、作品が有名になるにつれて料率を下げていけばいいでしょう。
デジタル時代のコンテンツは価格変動が当たり前ですし、利益も変わります。なにかの間違いで大ブレイクを果たした場合に一番利益が出るようにすればいいのかなーと思います。
いずれにせよ、ここら辺は事例がないのでよくわかりません。トライ&エラーの繰り返しですね。
おまけ1. 投稿者に対して還元できる機能も作った
この機能はWordPressのプラグインとして作っている(参考:俺の印税がこんない高いわけがない)のですが、投稿者に対しても還元できるようにしました。もしあなたがニュースサイトのようなものを作っていて、投稿者を募っている場合、利益を還元することができます。定期購読の利益分配はできないのですが、上で紹介したリンクのように投稿自体に値段を付けた場合はその投稿作成者が利益を得られます。
僕は無謀にも文学という歴史上マネタイズできていたことがほとんどない分野のものを売ろうとしていますが、料理レシピとか、ペットとか、セックスとか、健康とか、およそ多くの人が興味を持っている分野でそれなりに差別化できればビジネスにはなると思います。
おまけ2. 今後の予定
このプラグインですが、今後はこんな機能を予定しています。
- PayPal Digital Goodsに対応
- PayPal Adaptive Payment(定期購読の自動引き落とし)に対応
- ウォーターマーク(ePubとかPDFにメールアドレスなどのユーザー情報をon the flyでぶっ込む緩いDRM)
おまけ3. 法律的なこととか
「お金振り込みます」とか勝手に言っていますが、法律的にアウトだったらAmaoznギフト券に変わります。詳しい人がいたら教えてください。
おまけ4. 宣伝
ちなみに、最近破滅派の方でメタメタな時代の曖昧な私の文学というエッセーを書いています。電子化の進んだ時代におけるテキストについての考察を重ねたものです。文学とITに興味のある方はぜひ。