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脱帽のSF世界文学『半分世界』

高橋文樹 高橋文樹

この投稿は 6年半 前に公開されました。いまではもう無効になった内容を含んでいるかもしれないことをご了承ください。

円城塔さんがtwitterで「残念ながら天才。」と激賞していたので、読んでみました。

創元SF短編賞受賞作「吉田同名」でデビューした石川宗生による短編集ですが、キャッチコピーの「日本発、世界文学」にふさわしいテイストで面白かったです。

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普通のサラリーマンがいきなり2万人ぐらいに増える「吉田同名」、真っ二つにされた家をめぐる表題作「半分世界」、サッカーみたいなゲームを町ぐるみで300年も続ける「白黒ダービー小史」、いつ届くのかわからないバスを待つ人々が築き上げるコミュニティ「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」といった奇妙な話が収録されています。

僕は大抵の小説を読んでもあまり関心はしないのですが、この短編集はすなおにすごいと思いました。僕もこんな本を出したいです。

いわゆるSF作品とは少し異なるとぼけた味を持っていて、著者プロフィールによるとイタロ・カルヴィーノなんかが好きなようで、たしかにそういったニュアンスを感じました。最後の「バス停夜想曲〜」はラテンアメリカ文学っぽい虚実ないまぜのリアリティレベルが面白かったですね。

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最近とみに思うのですが、どのジャンルでも「座席」は決まっていて、ジャンル内小説でもなんとなく細かい住み分けがあるように感じています。僕が狙っていた「頭いいSF作家枠」はなんとなくもう埋まってしまっている気がしますが、それとはまた別の「ファンタジーっぽい不思議SF枠」に強力な作家が登場した感じです。

そのうち石川さんはそのうち長編にもチャレンジすると思うので、そちらが出たらまた読んでみようと思います。まる。

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