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ルビがルビーのことだったとは……

高橋文樹 高橋文樹

この投稿は 15年半 前に公開されました。いまではもう無効になった内容を含んでいるかもしれないことをご了承ください。

現在執筆中の小説のネタ探しの過程で知ったんですが、文字に振る「ルビ」って、宝石の「ルビー」を語源に持っているんですと。
昔は字の級数を宝石の名前で表していて、「ダイヤモンド」とか「パール」とかがあり、その中で5.5ポイントを表す「ルビー」だけが残ったそうな。

ときに、こういうブログなんかでは全然ルビが触れなくて、()でカッコ書きをするのがせいぜいだけども、カッコはカッコで他の使い方があるし、なにより日本人は「漢字とルビを同時に読む」という世界に類を見ない異常な読解力を持っているわけです。

ぼくは現在、「ブログ縦書き化計画」を企てていますが、縦書きやルビを表示できるのはMicrosoftのInternet Explorerだけ。オープンソースを謳っているFirefoxも、誇り高き少数派であるMacのSafariも対応していません。Googelから出たChromeも多分対応してないと思う。
あれだけ独占的だと嫌われたMicrosoft社が一番日本語の特性を生かしている というのは、皮肉といえば皮肉ですね。

ところで、ルビがなくなると(より正確には「日本人にとってルビが読みやすくなくなると」)どういうことになるのか。

お蔦と二人が毒蛇に成って、可愛いお妙さんを守護する覚悟よ。見ろ、あの竜宮に在る珠は、悪龍が絡い繞って、その器に非ずして濫りに近づく者があると、呪殺すと云うじゃないか。
呪詛われたんだ、呪詛われたんだ。お妙さんに指を差して、お前たちは呪詛われたんだ。
泉鏡花、『婦系図』、新潮文庫、2000年、p.411 

とまあ、非常に読みづらいわけです。「のろう」を「呪詛う」と書いたり、「蛾」を「ひとりむし」と読ませたりするあたりが、泉鏡花の面白いところなんですが、ルビがなくなるとその魅力は半減どころか、ほとんど苦行になりますね。懐かしの『特攻の拓』もぜんぜん「ぶっこみ」とは読めなくなってしまいます。

もっとも、泉鏡花は当時から難しかったと里見惇がどこかで書いていたから、消えゆく運命なのかもしれないけど、なんか淋しい気もします。ちなみに、この「運命」は「さだめ」と読みます。

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