Bewildering StoriesというWebマガジンに僕の掌編「とどめの一滴」の英訳版 “To the Last Drop” が公開されました。自作の翻訳が公開されることははじめてなので、とても嬉しいです。このブログの読者はほとんど日本語話者だとは思いますので、英語を母語とするお友達などおりましたらぜひ進めてください。
翻訳のきっかけですが、僕がやったのではなく、なんと翻訳してくれる方が現れたんですね! Kamei Toshiyaさんという方で、非英語圏(日本語・スペイン語)の小説作品を英語に翻訳して売り込むというお仕事をされています。翻訳者兼文芸エージェントという感じでしょうか。
去年ぐらいから一緒に仕事をさせてもらっていて、今年ようやく第一弾が出ました。今後も何個か出てくるので、楽しみにしてください。
僕自身、この試みは前からやりたかったのですが、いかんせん英語がそこまで堪能ではないのと、あちらのカルチャーがわからないという二重の壁から手を出せずにいましたが、ついに実現しました。
ちなみに、海外ではいわゆる新人賞でデビューするという日本型のシステムは一般的ではなく、数多あるリテラリーマガジン(文芸誌、ほとんどWeb)に短編が掲載されることでスタートを切るそうです。その中でいいものがあれば短編集として単行本デビュー、その反響次第で長編作家へとランクアップしていくとか。そういえば、ジュンパ・ラヒリやケン・リュウも短編集でデビューしてますよね。
申し訳ございません、このリンクは現在利用できないようです。のちほどお試しください。
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Kameiさんからは売り込むにあたって色々と海外文芸事情を聞いているのですが、日本との違いがいちいち勉強になります。また、「これって日本より進んでいるのでは?」と思う仕組みも多々あるので、今後に生かしていきたいですね。機会があれば、この悪戦苦闘についてもシェアしていきたいと思います。直接会った人はこっそり教えてあげますよ。
あと、今回感動したのは、bio(著者プロフィール)がすごく丁寧に書かれていることです。日本の商業媒体でここまで僕のことを詳しく書いてくれたところがあるだろうか(いや、ない)
Born in 1979 in Chiba, Fumiki Takahashi is an award-winning Japanese writer. His father is Naoki Prize-winning author Yoshio Takahashi, known for his historical fiction novels set in the Meiji era. Fumiki grew up during a period characterized by such events as the demise of Emperor Showa, the introduction of a consumption tax, and the collapse of the asset bubble.
Bewildering Stories より一部抜粋。俺こそがロスジェネの申し子だ!
僕は破滅派を運営しているので、他の小説家と違ってかなり多くの書き手を見てきているのですが、みなさんあんまりプロフィールを書かないんですよね。「しがない物書きです」とか。
しかし、売れっ子作家のケン・リュウでさえ結構Aboutページをこってり書いているんですよ。その人が何者であり、なにを得意とし、どんな実績を持っているかというのは、大事な情報なんですよね。
なので、自分を省みるとともに、破滅派でも寄稿者たちがちゃんとプロフィールを埋められる仕組みを作りたいなと思いました。あとお問い合わせフォームね。
ちなみに、英語版のbioはこのサイトでも作ってあります。100語または200語の 3rd personal bio (三人称形式の経歴)を書くの一般的らしいですね。
というわけで、今後にご期待ください。終わり。