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2008 年 8 月 5 日 3,185日前)
983文字 (読了時間2分)

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とりたてて好きなわけではなかったけれど、本日(2008/08/05)付の朝日新聞に載っていた解説に思うところがあったので、一言メモ。

ソルジェニーツィンといえば、最後のロシア大作家と評されるように、トルストイの系譜に連なる「重厚長大な大作家」の一人だった。「収容所群島」は彼にとっての「戦争と平和」だったろうし、「全体主義との戦い」という大きなテーマも持っていた。

そういえば、ほとんどの人が「収容所群島」を避けて「イワン・デニーソヴィチの一日」を読んでいるというのも、トルストイに重なる。みんな「戦争と平和」じゃなくて、「イワンのばか」とかを読んでいるでしょ。

ともかく、強制収容所に入れられたという経験は、者を書く人間にとって糧ともなっただろう。それゆえに彼は「大作家」たりえたし、宗教や正義と手を携えた「真っ当な感じ」を帯びていた。

で、以下の一節。

強制収容所体験を持ち、旧ソ連国家保安委員会(KGB)から迫害を受けた同氏〔引用者中:ソルジェニーツィンのこと〕だが、KGB出身のプーチン氏にはその野党への強圧的な政策にもかかわらず、「強制収容所による弾圧に関係したわけではない」とあくまで好意的だった。2008年8月5日『朝日新聞』(全国版)9面

たしかに、収容所体験というものは、微細な悪をかき消してしまうものだ。それに比べたら、今のロシア政権化でジャーナリストの暗殺(アンナ・ポリトフスカヤ)が起きたりするのは、もしかしたらどうでもいいことなのかもしれない。

ある大きな苦しみを乗り越えた社会というものは、微細な修正をして、仕上げて行くことが必要だ。もう革命の時代は終わって、彫刻を研磨剤で磨くようなことが求められている。revolution(革命)よりもelaboration(彫琢)が求められる時代にあって、ソルジェニーツィンの意識は古きよき時代の正義として、なんだか懐かしい。大文字の文学を感じる。そのころはまだ生まれていなかったけど。

収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察

収容所群島(1) 1918-1956 文学的考察 [書籍]

著者ソルジェニーツィン

クリエーター木村 浩

出版社ブッキング

出版日2006 年 8 月 3 日

商品カテゴリー単行本

ページ数480

ISBN4835442482

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この記事はが2008 年 8 月 5 日に文芸活動, 読書日記の記事として公開しました。

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