更新停止とか宣言しましたが、リポートものは早くなくてはいけないので、書きます。
というわけで、今年もやってきましたWordcamp2009。前回もリポートらしきものを書きましたが、今回の目玉はWordpress創始者のMattが来たことです。
基調講演と質疑応答
Mattはまだ25歳で、Wordpressを作り始めたのが19歳のとき。アパートの一室から一人でAutomatic社を立ち上げて、わずか六年で世界でもっともダウンロードされるブログツールを作ったそうです。
ちなみに、同社のMichael Pickさんは北海道のアパートでたった一人の日本支社をやっているそうです。もっとも、apartmentの意味って英語だとだいぶ変わると思いますが。いくらなんでも、畳張りじゃないでしょう。
Mattは大学でプログラミングやコンピュータ・サイエンスを学んでいたわけではなく、政治学をやっていたそうです。二年でドロップアウトして、Webの世界へ。「よくある話だけど、そういう人に会ったことはない」というパターンですね。
Mattの基調講演では、Wordpressの展望についても語られました。
- WordPress MUのプラグインとして動くBuddyPressを準備中。
- 自分だけのTwitterを作れるP2というツールを準備中。
- 今後もオープンソースとしてやっていく。
- 大事なのはデザイン・ユーザビリティ。
質疑応答のときには、何で儲けているのか謎であるAutomatic社の経営の柱についても教えてくれました。
- デフォルトプラグインAkismetの売上
- 知らなかったけど、商用は有料らしい。米Yahoo!などが使っている。
- Googleアドセンスみたいな広告
- あんまり高くないけど、塵も積もればマウンテンとのこと。
- VIPサービス
- WordPress.comの有料ブログホスティングサービス。CNNとかが使っているそうです。
もう一個あったけど忘れました。あと、僕も「Who is the most powerful blogger using WP?」という質問が採用されたのですが、そんなのどうでもいいだろみたいな反応されちゃいました。showcaseを見ろとのこと。はてぶのホッテントリみたいな感じですかね。この質問については後述。
その他のプレゼン
こんな感じでプレゼンがありました。
- WordBench紹介(三好さん)
- WordPressの地域コミュニティWordBenchの紹介。全国で12地域にあるそうです。BuddyPressを使っているそうです。
- 開発者からみたWordPressのいいところ(アリウープ柏岡さん)
- PHPerの開発会社から見たWordPressの長所。
- 日本語環境に必要なもの(Tenpuraさん)
- WP MultibytePatchがどんなことをしているかという解説。
- Ktai Styleによる携帯対応(池田百合子さん)
- プラグインKtai Styleの話。有名ブロガーの百式さんもこれを目当てにMovable TypeからWordPressに乗換たという噂の高機能プラグイン。今、僕も仕事で携帯サイト作ってますが、確かに一つの入力でPC、携帯両方から見られるのは魅力的ですよね。このブログでも入れてますが、まだデフォルトのままです。携帯でMooToolsリファレンス見る人がいるわけないので、本腰入れてカスタマイズしないとなあ。
- 20分で見るプラグインの作り方(hiromasaさん)
- 20分でプラグインを作る。要するに、フィルターフックの説明。個人的には、Eclipseのデバッグをはじめて生で見たのでそれが参考になりました。
- ショートコード活用術(水野さん)
- WordPressのショートコードについての説明。個人的に思うのは、ショートコードを一度でも使ってしまうと、それに対応し続けなければいけないのがちょっとネック。デフォルト機能ならいいのだけれど。お試しでしばらく入れてみたプラグインにこれが入っていたりすると、かなり困ることに。
- WordPress.tv(Michael Pickさん)
- WordPressのためのビデオを集めたサイトWordPress.tvについての説明。たしかに、管理画面の操作方法とかはスクリーンキャストで見せたらいいんだけれど、自分で撮るのは面倒。これは期待。あと、Michaelさんはプレゼンが上手い。スライドのデザインも物凄く綺麗。あの写真はどこで手に入れてるんだろう?
- ライトニングトーク
- 四人の方が入れ代わり立ち代わりでしゃべりました。これを10人ぐらいでやると面白いんじゃないでしょうか?
懇親会
その後、懇親会へ。写真ないんですが、色んな方にお会いできて楽しかったです。
特に、Web上でブログを読んだり、トラックバックやらCodexやらでやり取りしている方々(Miyoshiさん、Naoさん、ぼのさん、tenpuraさん、taiさん)に会えたのはよい経験でした。Webの向こう側には人がいるということを改めて認識しました。
そして、Mattとも話しました。なんというか、自信に満ちた気持ちのよい若者です。自分の周りに人がいることに慣れていますね。
で、質疑応答でいなされた質問がよくなかったのかと、表現を変えて「WordPressを使って表現活動をしている有名な小説家はいる?」と尋ねてみました。すると、いっぱいいるよ、とのこと。五人ぐらい教えてくれましたが、全員僕が知らない人でした。まあ、しょうがないですね。アメリカ人に「はてなでは平野啓一郎氏がブログ書いてるよ!」って言っても、わかる人少ないだろうし。
他にもAmazonのKindleを見せてくれたり、色々気さくな人でした。なんか酔っ払って上手く話せなかったけれども、君と話せて嬉しかったよと伝えて席を立ちました。
雑感
ちょっとネガティブに聞えてしまうかもしれませんが、Mattの基調講演で印象的だったのは、Mattが通訳を介入することを拒否したこと。たぶん、「自分の言葉で伝えたい」という意向だったのかもしれません。
日本人相手にそれをやられると、ほとんどわからない人が大多数になってしまいます。ここに隔絶があるなと思いました。Mattはすごくパワフルで、気さくな人間だと思います。オープンソースにコミットしているぐらいですから、自由を愛しているのでしょう。
が、あえて言うならば、そんなMattでも日本語という異国語に対する理解はあまりないわけです。日本人がほとんど英語を話せないということは、不勉強だからというより、日本語だけでもなんとかなる文化を持っているということでもあると思うのですが。やはり、自分たちで頑張って対応していくしかないのでしょう。
というわけで、リポート終わります。WordPress日本語チームのみなさん、おつかれさまでした。