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万延元年のA-Zスーパーセンター

高橋文樹 高橋文樹

この投稿は 15年 前に公開されました。いまではもう無効になった内容を含んでいるかもしれないことをご了承ください。

NHKで取り上げられたという話を聞いてからずっと気になってた超大型スーパー。

A-Zスーパーセンター(英称:A-Z SUPERCENTER)は、鹿児島県阿久根市に1997年3月オープンした日本初のスーパーセンター業態であり、日本初の大型24時間営業店である。
通称、A-Z(エーゼット)。ロゴマークにかたつむりを用いている。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Wikipediaだとよくわかんないけど、田舎町で24時間スーパーのネオンがギラついている光景はかなりインパクトがあるらしい。ビジネスの常識を打ち破ったスーパーマーケットなんだってさ。

で、これで思い出すのが大江健三郎の『万延元年のフットボール』なわけです。

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

価格¥2,090

順位98,417位

大江 健三郎

解説加藤 典洋

発行講談社

発売日1988 年 4 月 4 日

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同作の中には「スーパーマーケットの天皇」という登場人物が出てきて、谷間の「在」という小さな集落の経済を支配する在日朝鮮人として描かれています。あんまり好意的には思われてなくて、たしか村人全員に一発ずつ頭をはたかれて死んじゃったような気がします。学生時代に読んだので、うろ覚え。

大江氏は「大江健三郎、自身を語る」の中で、大学卒業を控えた頃、早稲田に通う同郷の友人が「一緒に四国に帰ってスーパーマーケットをやろう、絶対に成功するぞ」と持ちかけてきたと書いています。(本を図書館に返しちゃったので、正確な引用ができず……)

大江健三郎作家自身を語る

価格¥1,022

順位248,452位

大江 健三郎, 尾崎 真理子

発行新潮社

発売日2007 年 5 月 1 日

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スーパーマーケットの天皇はこの友人がモデルになっているそうなんですが、このA-Zスーパーセンターを見ていると、あながち悪役とも言えないですね。

そもそも、ビジネスとしてのスーパーマーケットなんて、ダイエーの中内功以降はすでに陳腐化しているわけで、たぶん新しいことなんて起こらないわけです。これは別にスーパーだけがそうなんじゃなくて、ビジネスの宿命でしょう。僕が生まれてきたときからあって、まだあるものっていうのは、その時点ですでにちょっと陳腐なわけです。ゲームとか、マンガとか、文学とか。

このA-Zスーパーセンターの社長が偉いと思うのは、陳腐化されたスーパーマーケットというビジネスモデルの市場を、栃木あたりの郊外とか、駅前の一等地とか、郊外の新興住宅地とか、そういういかにも三流ビジネスマンが集う会議室で選ばれそうな場所ではなくて、「田舎は競争相手がいないから」というシンプルな理由だけで、ド田舎に設定した点です〔参考:元気塾〕。

村上龍的に言えば、シンプルって強い。こういう人だからこそ、「100円で自宅の前まで送迎してくれるバスが出る」とか、「60歳以上と身体障害者には、消費税分をキャッシュバック」とか、本当にお客さんのことを考えているサービスが実現できるんだろう。

そもそも、ビジネスってほとんど陳腐だと思う。そういうものに新しさを求めて働くのって意味ないんじゃないだろうか。ビジネスだと思うから陳腐なわけで、ビジネスじゃないと思えば新しい可能性が見えてくる。「営業力がないから」とか「商品が悪いから」とか言ってる場合じゃない。

まとまらないけど、終わり。


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あと、MooToolsの翻訳終わった。JavaScriptの勉強になりました。

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