hon.jpのニュースで「書籍編集は単なる人力ベイジアン・フィルタ」出版社が公開した社内フロー図が作家たちの間で話題にという記事があったのですが、そこで紹介されている図が面白かったので訳してみました。大きい画像はこちら。
この図はもともと出版社のブログ記事how a book is born (because you kids love the infographics)で紹介されたものだったようですが、その記事自体は別にベイジアンフィルタがどうこうということについては言っていません。たぶん何か嫌なことがあったんでしょう。タイトルもちょっと挑発的で、「本がどうやって生まれるか(お前らガキどもはインフォグラフィックスが好きだからな)」というニュアンスでしょうか。
hon.jpによればこのブログ記事が別のブログ記事によって「こんな業務フローなら、ただのベイジアンフィルタなんだから、すぐIT化できちゃうよ」と話題になっているそうです。
このようなものが、いまさらなぜ作家や職業ブロガーたちの間で話題となっているかというと、実は書籍の編集業務が単純な2系統のベイジアン系アルゴリズム(図右の「有名作家コース」と左「一般作家コース」)で構成されているという事があるブログの指摘で判明したこと。hon.jp DayWatchより
ただ、どこで話題になっているのかはまったくわかりませんでした。「あるブログ」を教えてプリーズ。
ところで、ベイジアンフィルタってなに?
一応、説明しておきますと、ベイジアンフィルタとは機械学習による分類方法でして、スパムメールの判定とかに使われています。ちょっと前に話題になったなぜ「主人がオオアリクイに殺されて1年が過ぎました」なのか?という記事を参考にしてください。
要するに、ある特定の情報の分類を機械に学習させ、自動的にふるい分けるという方法ですね。
hon.jpによれば、有名人コースと一般人コースによってフローがわかれる典型的な2系統なので、ベイジアンフィルタが適用しやすいよということです、ハイ。
ホントにそんなことできるのか
編集者いらないとか言うと炎上しちゃうかもしれませんが、既存の編集者のほとんどは基本的に右側のツリー、つまり有名人コースでの仕事が主なんじゃないかと思います。
編集者というのは沢山の本や記事を扱っているので、基本的にはシュアな結果が求められます。毎回冒険してられないですからね。そうなると、有名人との仕事が多くなります。文芸書では有名で売上が保証されている先生から原稿を貰う方が、無名の新人に原稿書かせるより期待値が大きいですからね。
インタビューなんかでも、有象無象に話を聞くのはあまりなくて、「誰お前」という人でもその業界ではわりかし有名人だったりします。覆面座談会も中身はほとんど編集者の友達とかですよ。女子大生の覆面座談会なんて、合コンの口実なんじゃないかとさえ思います。
僕がいままで会ってきた編集者でも、「誰々と仕事をした」ということを自慢する人は多かったですが、「誰々を売り出した」という自慢をする人はほとんどいなかたですね。奥ゆかしいだけなのかもしれませんが。「自分と会った人は後に売れっ子になるというジンクスがあるんですよ」とか言う人は、そういえば沢山いますね。
編集者といってもほとんどは普通のサラリーマンなので、無名の才能をバコバコ発掘している人は超少数派、普通は会社の看板背負ってルート営業ですよ。
要するに、「有名人コース」における編集者の仕事というのはあんまり変わらなくて、ベイジアンフィルタを適用するとしたら、「一般人コース」が主になるんじゃないでしょうか。文学新人賞の一次選考とかベイジアンフィルタでもいいと思います。
おまけ
ちなみに、このhon.jpを読んで「おっ」となったのは、僕が現在破滅派で連載中のシリーズ『メタメタな時代の曖昧な私の文学』グッド・ルーザーになるための準備はできているかと同じこと言っていたからです。興味のある人は読んでみてください。
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