死ぬほど小ネタで申し訳ないのですが、今月発売の文芸誌「すばる」八月号の鼎談「青木淳吾+佐々木敦+滝口悠生 電子書籍による文学の可能性」で、私、高橋文樹と破滅派が一行だけ言及されます。これはマストバイですね! ほんとに一行ぐらいしか出てこないんですけど!
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鼎談の内容としては、青木淳吾さんの新作『プロQさつじん事件』が集英社初の電子書籍レーベルからの最初のリリースかつ電子書籍オンリーであることを題材にした内容になっています。
青木淳吾さんは僕と同じ新潮新人賞受賞者で同い年ということもあり、デビュー当初は「なかなかすごい才能が現れたな!」と気にしていた存在です。一度ですが、会ったこともあります。
なんですかね、このネタだと日本で僕よりもうってつけの人材は存在しないと思うんですが、文芸誌の編集者のアンテナの低さも十分わかるので、とりあえずまあ読んでみてください。
電子書籍の売り上げって?
電子書籍市場が拡大しているというニュースをなんとなく聞いたことがある人もいるかもしれませんが、基本的には「電子書籍=漫画」です。文芸はほとんど存在していないです。
破滅派ではこれまで50冊以上の電子書籍を出したのですが、一番売れたのでも300DL(Kindle Unlimitedなどの読み放題除く)ぐらいです。ただし、最近のものほど売れているので、今後も増えていくはずです。
あと、破滅派では意図的に「Kindleでしか出さない」という戦略を取っており、もちろん出すストアを増やせば最大で60%ほどの売り上げ増が見込めるのですが、今の目標は1,000DL、10,000DLを出すことであって、「10,000円を16,000円にすること」ではありません。
ここら辺のリアルな数値が破滅派にとって恥ずかしいことかというと、そんなことは全然なくて、たとえば、文芸の電子書籍(電子書籍オンリー)に関して僕が知っている数値でいうと、草野言々さんの『最初にして最後のアイドル』が5,000〜7,000DLで画期的な数値と言われていました。
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で、去年出た八島遊舷さんの『天駆せよ法勝寺』がもうすぐ10,000DLに迫ろうという勢いです。
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両方とも電子書籍に力を入れている版元、それもSFで読者のITリテラシーが高いという点もあるとは思うのですが、電子書籍オンリーとしては成功例なのではないでしょうか。『最初にして最後のアイドル』は星雲賞などを受賞したこともあって、その後単行本化もされています。
で、多分なのですが、電子書籍のロイヤリティは書籍印税と同じ10%ぐらいに設定されているはずなので、法勝寺で言えば10,000DL×97円×10%で、著者の矢島さんに入った金額はだいたい97,000円ぐらいのはずなんですよね。知らんけど。『サークルクラッシャー麻紀』とあんま変わんないじゃん、となります。
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この金額感だと、著者としてはとても生活できないので、やはり「出版社から紙の単行本を出してもらわにゃやっとれんわ」となります。おそらく、この状態は何年かは続くはずで、あとはいかにして電子書籍で集めたアテンションを紙の書籍の売り上げにつなげるか、ということで各社工夫をしていくことでしょう。
ただ、最終的なコンバージョンが「紙の書籍購入」なんだったら、普通にWebサイトとかでいいと思いますけどね。「電子書籍でバズった短編を膨らませて紙の単行本売る」というのは、「twitterでバズってる人の漫画を出す」「芸能人に小説を書いてもらう」というのと構造的にまったく同じなので、なにかしら新しいビジネスモデルを考えたいですね。終わり。