先日ブログに書いたとおり、ギックリ腰になってしまったので暇を見ては病院にリハビリ行っているんですが、本日、腰に牽引かけている最中、カーテン越しにこんな会話が聞こえてきたんですよ。
「◯◯したら絶対に大丈夫ですか」
インフルエンザの注射かなにか知らないんですけど、その患者さんはお医者さんになんらかの確証を求めている様子。お医者さんは色々と可能性を示した上で、「患者さん自身で決めてください」と伝えていました。すると、その患者さんは「私は専門家じゃないので、こうやって医者にかかってるんです。その決定も求められても困ります」と答えたんですね。
その後、すったもんだあって、ついに医師からこんな提案がなされました。
「Googleとかで検索してもらえたらわかりますけど、いろんなお医者さんがいろんなことを言っていますよね。ですから、一般的にこれが正しいということを私は言えないんですよ」
おお、さすが医者。ぶん殴ったりしない。我慢強い上にどっちつかずの模範的回答です。
その後、結論はどうなったかは知りませんが、受付で「カルテを消せ」とか息巻いている人がいたので、たぶん喧嘩別れで終わったんでしょう。僕はリハリビを終えてホカホカになった腰にコルセットを巻きつつ、「嫌なもん聞いたなあ」と絶賛炎上中の現場へと向かったわけです。
僕も仕事がらたまに「◯◯って☓☓なの?」という質問をされて、同じような展開になることがあります。「わからないから専門家のおまえに聞いてるんだ」という主張にも一理あるとは思いますし、そういう人がいるからこそ自分が仕事をしてお金をもらえるのですが、ズバッと回答を差し上げられない次のようなパターンがあります。ランキング形式で発表です。
質問に答えられないあるあるランキング(2016年・高橋調べ)
第1位 質問者の態度が悪い
栄えある第1位はこれですね。ほんとに簡単な問題なら別に構わないんですけど、個別具体的な事柄になると色々とヒアリングする必要があります。それをすっ飛ばして質問してくる人がたまにいます。
具体的に言うと、「このサイトの引っ越しいくらかかる? そんな簡単なこともすぐわかんないの?」みたいなやつですね。発注が確実なら多少横柄な質問でも答えますけど、そうでもないのに「とりあえずサクッと答えろ、使えねーヤツだな」みたいな人に対しては「わかんないです、一億ぐらいじゃないですか?」と答えるようにしてます。
第2位 抽象的すぎる
あんまりないんですけど、質問が高度(というか、抽象的)すぎて答えようがないことがあります。「我々はどこから来て、どこへ行くのか?」とか聞かれてもわかんないじゃないですか。そこまで哲学的な質問ではなくても、「◯◯でビジネスは成功しますか?」とかは困ってしまいます。
一応「半年で☓☓のコストをかけて▲▲のレベルまで持って行けなかったらやめたほうがいいんじゃないですかね」とかは答えますけど、半年以内に質問者が交通事故で死んでしまうかもしれないですし、それまでに競合が存在しているかもしれませんしね。なんとも答えようがありません。
第3位 心配性すぎる
よくあるパターンとして、「◯◯すれば大丈夫ですか?」とか、「☓☓なら絶対に▲▲ですか?」とかそういう質問の仕方をする人がいます。おそらく安心したいのだとは思うのですが、世の中に絶対はないんですよね。ブルーバックスのゲーデル本でも読んでください。
まあ、僕自身にリスクが来ないなら「絶対に大丈夫ですよ!」と答えてあげることはできなくはないのですが、こども電話相談室じゃないんですから、「自分の責任ぐらい自分でとれよ」と思ってしまいます。98%のものを99%にする労力はとても大きいので、適宜見切りをつけてほしいところです。
そういえば、小学生の時、ゲームセンターにポーカーのコインゲームがあって、他の人がやっているのをボヤッと眺めていたら、プレーをしているヤツにハイ&ローのどちらを選ぶべきか質問されたことがあります。僕は適当に「ローじゃない?」と答えたのですが、その質問者に「ほんとかよ? 間違ってたら責任取れよ!」と激ギレされてしまいました。
今思うと、メチャクチャな質問者なのですが、それで彼が警察に逮捕されて矯正施設に送られるということはなく、そのまま普通に大人になっていったであろうことを考えると、「自分のわからなさ」の責任を他者に押し付ける人はこの世の中に一定数存在するんでしょうね。
ベスト・プラクティスはたらいまわし!
世の中にはどんな質問にでも答えてくれる専門家はいるはずですが、そういう人たちが無償でやってるかどうかというと、怪しい所です。シェ・ミクニのような高級レストランでシェフを呼んで料理についてあれこれ質問したら答えてくれるんでしょうが、マクドナルドでそんな薀蓄聞いても公式Webサイトを案内されて終わりのような気もします。アレルギー食品が入ってるかどうかぐらいは教えてくれると思いますけどね。
そんなわけで、「専門家だろ? 答えろよ!」と言われてムカついた時は、「じゃあ他の専門家に聞いてみてください」とたらい回しにするのがオススメです。冒頭に紹介したとおり、歴史の古い専門家である医師がそうしているので、おそらくそれがベスト・プラクティスなのでしょう。医療業界でよく言われるセカンド・オピニオンも、基本は同じ考え方ですしね。というわけで、終わり。
価格¥1,100
順位30,544位
著竹内 薫
発行講談社
発売日2013 年 4 月 19 日
ゲーデルがホワイトヘッドとラッセルを不完全性定理で撃破するシーンは胸熱