先日、Ustreamの日本撤退が報道されましたが、Business Journalの時代の寵児Ustream、ひっそり撤退…なぜ視聴者&配信側に見捨てられた?甘さがアダという記事によると、その敗北の過程が僕の運営する破滅派(=小説投稿プラットフォーム)にとっても参考になりそうでした。
上記の記事によると、撤退の要因を以下の3つに分けていました。
- 1. 囲い込みの失敗
- ユーザーを惹きつけるコンテンツをしっかり訴求しなかったり、通知機能があまかったり、トップページが作りこまれていなかったり、ユーザーを訴求して囲い込む施策が弱かった。
- 2. ビジネスモデルの失敗
- Ustreamは広告モデル(Youtube) でもなくユーザー課金(ニコ動)でもなく、配信者(クエリエイター)から課金するモデルだった。
- 3. ブランド力の低下
- ニコ動、ツイキャス、Youtube(特にYoutube押しになったころ)によって相対的にブランド力が低下した。
Ustreamが撤退すること自体に特段の驚きはなく、今後ますます拡大していくだろう動画コンテンツ市場においても競争は苛烈なのだなという事実を再確認するだけなのですが、興味深いのは2のビジネスモデルについて。
このニュースを知った時に、ちょうど「Ustreamをビジネスで使っていたが使わなくなった人」に意見を聞いたところ、「有料プランじゃないと動画が一ヶ月しか保存されなくなったからやめた」ということを言っていたので、それって重要なんだな、と思いました。
あと、この記事の分析では以下の部分が印象に残りました。
これはゲーム機のビジネスに似ている。ゲーム機本体を普及させるためには、魅力的なゲームを多数出す必要がある。人気のゲームタイトルを獲得するために、制作費の補助を出すことが行われている。
しかしUstreamはそうではなかった。高性能なゲーム機は出したが、ゲームメーカーには補助をせず、逆にお金を取るスキームだったのである。
なるほど、たしかに一口にプラットフォームといっても「コンテンツ発信できる場所作ったよ! あとはみんながんばってね! お金ちょうだいね!」は通用しないということですね。プラットフォーマーというとギャンブルの胴元みたいな悪いイメージ(僕だけ?)がありますが、成功しているところは販促費出してスターを作ろうとしたり、色々必死に場を盛り立てているわけです。
コンテンツを作る側からすると、コンテンツを作る行為それ自体に多大なコストをすでに支払っています。これは動画制作会社に外注費を払ったとか、モデル代がとか、そういうこともあるでしょうが、例えば小説みたいに原価があんまりかからないものだったとしても、時間というコストが膨大にかかっているわけですね。で、それを世に問おうとした瞬間に「お金払ってね!」って言われたら、「もうねえよ!」ってなりますよね。お金かからないでやってくれるところがあればそっち行くでしょう。
また、自分が作ったプラットフォームの資金源をクリエイターに求める場合、そのプラットフォームは成果物の質には頓着しないということになります。それはビジネス的にも危険というか、コミットメントの薄さを露わにするだけのようなきがするんですよね。そういえば、カワンゴもこんなこと言ってました。
@hazuma 手離れのいいプラットフォーム、コンテンツはおまかせで場だけ提供というタイプは、米国企業しか勝てません。日本が勝てるプラットフォームは自らコンテンツをつくって新しいジャンルを開拓する任天堂モデルだというのが持論です。
彼の言ったとおり、強豪である米国企業は日本から撤退となったわけです。日本市場ではニコ動の勝ちとなったわけですが、Ustreamは上場してない(よね?)ので、時価総額とかがわからず、グローバルマーケットでの比較は難しいですが、もしわかったら面白そうですね。
そういえば、僕は昔、新風舎という自費出版の会社に原稿を持って行ったことがあります。当時、拙著『ハムスターに水を』が「村上春樹に似ている」という理由でボツになったことが納得いかず、それならば出してくれる出版社に持って行こうと思ったのですね。で、たまたま新聞に出ていた新風舎の社長のインタビューを読んで、もともと詩人だったとかそんな経歴にシンパシーを感じて持ち込みを果たしたわけです。
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僕としては自費出版のために20万ぐらいなら出してもいいかなーと思っていたのですが、新風舎の編集者(プロデューサーっていう肩書だったかも)は無料で出してくれると言います。しかし、原稿直せとか言ってくるんですね。僕は新風舎にそんなこと期待していなかったので、「いや、これを直す必要性感じないので、このまま出すとしたら幾らかかるんですか」と聞いたところ、200万ぐらいの見積もりをもらいました。当日は言わなかったですが、その担当者の経歴を聞いて、「去年までレコード会社やってた奴が俺の文学に口出ししてんじゃねーよ」と感じたのですね。「文芸の世界での歴は浅いですが、売れる売れないはわかります!」ってそんなこと誰でも言えるわ。
結果的に見ると、その新風舎は潰れてしまったわけで、その一方、文芸社はいまだに存続しています。文芸社と新風舎の違いがなんだったのかは文芸社と一切付き合いがないのでわかりませんが、コンテンツを作ろうとする努力なんでしょうね。文芸社は自費出版ビジネスでブラックな噂も幾つかありますが、なんだかんだで成功しているコンテンツがたくさんありますしね。『リアル鬼ごっこ』を家庭教師先のガキンチョが新聞のサンヤツで見て、「なにこれ面白そう!」って叫んだときは腰抜かしました。
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そんなわけで、たとえプラットフォームであったとしても、コンテンツを良くしようとする努力を怠るべきではないなと思いました。
翻って破滅派の話ですが、僕は自分が作品を発表する場として破滅派を立ち上げたのですが、やっているときは色々と嫌な感情を抱くこともあります。なんというか、僕は21歳でデビューしてから他人に作品をボロクソに言われたりすることに慣れているので、破滅派ではそうしたことが起きないよう腐心しつつも、「そんぐらいでガタガタうるせー作家だな、いいから書けよ、おまえのリクエストに答えてる間に俺は書く時間を失ってるんだよ」と思う気持ちもないわけではないです。
そんなわけで、破滅派はわりと不親切というか、説明不足なところがあります。
あと、もっとぶっちゃけて言うと、僕は自分の作品を発表する場として破滅派を作っているので、「よかったらみんなも使えば?」という自分の皿に乗っている料理を分けてあげているというか、むしろ赤子が「俺が作ったこのうんこ食べる?」って聞いてくるぐらいの肛門期的な気持ちでやっているのですが、それだと多分ダメなんでしょうね。Ustreamの例を見ていると。
とはいえ、なんかそこまでしてみんなのために尽くしたいという気持ちもなく、僕ももう36歳で、小説家としての全盛期が過ぎるまであと何年もないので、なんかうまいやり方を考えようと思いましたね、ハイ。
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