ル・クレジオ死亡説を唱えていた僕でしたが、去る11/29に東大本郷キャンパスでル・クレジオ氏の講演が行われました。
お題目は「フィクションという探求 Une quête nommée fiction」です。
日仏会館にて27日に行われた大江健三郎氏との対談は知らぬ間に予約が終了していましたが、東大での講演を主催するのは僕の在籍していた東大仏文科。OB特権により楽勝で入れるだろうと思っていたところ….
一時間前に行ったのに既に満席! プロジェクタで同時通訳を聞きながらの「中継席」しか空いてませんでした。ショック。
とまあ、仏文の人たちも大人気すぎてちょっとテンパっていたようです。まあ、しょうがないよね。学者なんだから。スーフリとかならこういうときに上手く捌くんでしょうが。
聞きにきている人たちの中には、それほど文学に関わりを持たなそうな人も多かったようです(完全に偏見ですが)。普段ル・クレジオに興味をもたないであろう人まで呼び寄せるとは、さすがノーベル賞パワー。
両隣の方々はフランス語を解したようで、しきりにメモを取っていましたが、僕は「ふん、俺にはiPhoneがある!」とばかりにボイスレコーダーを起動。講演を録音して何か(?)に使おうと思っていたんですが、途中でiPhoneが落ちたため、断念。機械はまだ、鍛え上げられた人間に勝てないのか…
内容は大体こんな感じでした。メモ取らなかったんで忘れました。
- 日本の印象
- 30年前に来た時は和服を着た女の人がいっぱい歩いていた。浅草とか特にそうだった。今は全然いない。日本はとても発展を遂げた国になった。これはいいことでもあり、悪いことでもある
- 「モンド〜海を見たことがなかった少年〜」ぐらいから創作態度が変わったようだが、何かあるのか
- メキシコやタイに行って変わった。しかし、基本的な創作姿勢は一貫している(うろ覚え)
自分でも驚くほど覚えていないですね。
他、質問タイムなどもありました。個人的に面白かったのは、「私は共著で小説を出したことがあるのですが、辛すぎて辞めました。どうしたら上手く書けますか」という身も蓋もない質問です。「いっぱい読んで書け」みたいな返事を貰ってました。そりゃそうだろ。
その後、中継室にル・クレジオ氏が表れました。プロジェクター越しに氏を見ていた聴衆達は拍手でお出迎え。
懇親会へ突入
これにて講演はお開きとなったのですが、主催の仏文科で懇親会が行われました。僕はOB特権を利用してそこへ突入。手伝いは一切せずにワインを飲んでいました。
そこへル・クレジオ氏が登場。さっきはプロジェクター越しでしたが、今度は生ル・クレジオだ!
ところが、教授達がル・クレジオを取り囲み、つけいる隙無し。僕も僕でそんなに聞きたいことがなかったので、遠巻きに見守るのみでした。感想は「娘(?)が別嬪だった」「背が高いな」ぐらいですかね。
ル・クレジオ氏はおつかれのようで、二〇分ほどでご退席。その後は残ったワインを漁りながら、ロスジェネ文系ポスドクの友人達と鬱病からの復活方法などについて話し合った次第です。
まとまらないけど、終わり。日本でのル・クレジオ人気が高まって、「黄金探索者」などが復刊するといいですね…と思ったら池澤夏樹の世界文学全集に入ってたわ。
フライデーあるいは太平洋の冥界/黄金探索者 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-9)
価格¥2,348
順位393,754位
著ミシェル・トゥルニエ, J・M・G・ル・クレジオ
翻訳榊原 晃三, 中地 義和
発行河出書房新社
発売日2009 年 4 月 11 日