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2017 年 5 月 26 日 143日前)
1,838文字 (読了時間4分)

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立命館大学の論文がBLを含むpixivのR-18小説を無許可で有害な情報のサンプルとして晒し上げてして炎上という事件(?)があったので脊髄反射的に何も考えずに書くのですが……

  • 著作権法的には別に問題ない(引用の要件を満たしている)
  • 「有害」というのはポルノを公的な機関(役所、大学)が論ずるにあたってわりと一般的なタームであって、大概のエロ本は「有害図書」であり、Pixivの18禁小説は有害だから18禁にしているのでは?
  • 表現の自由を謳歌する(エロを自由に発表できる)なら、学問の自由も保証されなければならない。そこには当然、自分が学問の対象となって傷つくかもしれないことを含んでいる。
  • ポルノは通常の社会でのポルノが非日常であることを価値の源泉としているので、通常の社会での倫理から過度に逸脱した倫理観を守ることは通常の社会へのフリーライドである。

という感想を持ちました。ここら辺は研究倫理に詳しい人などからも反論が出ているようです。

立命館大学のキャッチコピーは “Beyond Borders” なのですが、ボーダーを超えたら炎上してしまったようですね。

で、ここから本題です。

今回の研究を発表した人はおそらく情報科学を専攻している大学院生とかで、たぶん自然言語処理的な分野の研究として論文を発表したのでしょうが、今回の「炎上」はなんだか文化人類学みたいだなーと感じました。

炎上の原因はPixivの創作ヲタ界隈、それもBLやエロといったジャンルの人たちの「自分たちはひっそりとやっているのだからほっといてほしい」という隠遁者的な権利意識が原因になっていると思うのですが、普段からそうしたカルチャーに接していない人からすると「インターネットで作品公開しておいてなにいってんだ?」とツッコミたくなる気持ちが湧いてくることかと思われます。「Pixivの18禁はログインしないと読めなくてウンヌン」という反論もありそうですが、でもまあ、ねえ。

で、そうした(外部からは)謎の権利意識を持つ集団に対して、これまで学問の世界で普通だとされていた倫理観で突入したところ、毒矢を打たれて火で焼かれてしまったというのが今回の炎上だったのではないでしょうか。

文化人類学の研究では、こうしたことを解消するために、まずその集団に入って研究体制を整えていくということをやっています。

研究者としては、相手を怒らせたまま研究が可能な方法を構築するか、融和的な手法を取る(ex. 配慮する、Pixiv入社、自分も絵師になる)か、色々やること多くてめんどくさそうですが、やりたかったらがんばるしかないですね。その研究やりたいって主張しているのは研究者なんだから。

Pixivの特定のクラスタは研究者たちと同じ文化圏に所属する人々ではあるのですが、同時に独特の倫理体系をもっているので、「研究倫理」と一般に言われているものを提示しても通用しない(=話が通じない)のがネット未開部族として新しいところかな、と思います。

また、個々人あるいはその集団に情報発信力があるというのも、たとえばピダハンの研究なんかとは違った新しい側面ですね。今回は「炎上」という結果になって論文を取り下げてしまいましたが、毒矢を打たれる(物理)ではなく、情報発信という同じレイヤーで反撃されるのが興味深いです。

もちろん、文化人類学にもあまり過度に関わりすぎるとそれまで黒と白しかボキャブラリーを持たなかった民族が空気を読んで「これは黒白だな」って言い出すような自体が発生してしまう難しさがあるようです。波を測定したら固定化して波じゃなくなった、みたいな。

そんなわけで、インターネット上のコンテンツは計量可能ではあるけれども、Pixivの創作クラスタのような「匿名アカ」もまたもとは人間であるという発見が今後にいきますように。

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観書籍

作者ダニエル・L・エヴェレット

クリエーター屋代 通子

発行みすず書房

発売日2012 年 3 月 23 日

カテゴリー単行本

ページ数416

ISBN4622076535

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この記事はが2017 年 5 月 26 日にその他の記事として公開しました。

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