高橋さんは何を書かせてもまあうまい。キャラも書けるし、 文学的な含みも感じさせるし、何でもできる感じ。どこにもストレスを感じさせずに、べらぼうに上手いものを読んだ印象が残る。こんなことを考える人はいないし、一からあれ […]
阿部和重(初期)と森見登美彦のセンスを足したみたいな感じで、今後も注目。「遅れてきた島田雅彦」とは僕には全然思えませんが。
とにかく、これだけ大勢の人物たちが入り乱れる話を、破綻させることなく最後まで引っ張って、一つの形に仕上げた力は本物だと思う。もしかすると高橋さんは、私などが考えるよりももっともっとスケールの大きな小説へ向かって、歩き出そ […]
ともあれ、「遅れてやってきた島田雅彦」といった観もある作者が、この受賞作を超えて本格的な作家へと成長することを期待するばかりである。
いずれにせよ、大いに誤解されるか、笑いものになって終わるだけかもしれない可能性を、作者はどれほど覚悟してこれを書いたのか定かではないが、ほとんど自爆テロのごとき試みのこの作品は、少なくとも若々しさに関しては、見事に描けて […]
軽やかな文章の中に、「今」を生き抜こうとする若者たちが巧みに書き込まれ、読む側を刺激し、圧倒する力を持った作品だった。新しい才能の出現にわくわくしている。
小説とは、自分が持っている「情報」を「物語」に織り込んで、読む人に「伝える」ものだ。この個人的な情報と伝えようという意思を、『途中下車』は持っていた。結果として現代の閉塞感が見事に描かれている。