ディエゴ・マラーニ『通訳』を読んでやる気を出してみる。

200810/6(月)1:42AM

今書いている小説は、言語に関するものです。が、ぜんぜんはかどりません。というのは、最近よく感じることなんですが、脳味噌が小説向きの動き方をしていないのです。

偉そうな意見ではありますが、小説を書くには、小説向きの思考になっていなくてはなりません。よく言われるように、とつぜん天啓が降りてきて書けるわけではなく、アスリートが「なんだか今日は調子がいい」と思うように、スラスラと小説を書けるときが来るのです。

で、最近の日常は創作とは程遠く、端的に机の前に座ってじっくりと考える時間が少ないからのような気がします。こうやってWebサイトを作り、情報を発信していくことを重要だとは思いますが、なによりも内容を作らなくてはしょうがないわけです。

日々追い立てられることがあって、ものすごく待望されているという状況にもなれないまま、小説を産みだして行くのは難しいなあと感じる今日この頃です。心は焦り、焦るからこそ凡庸な思考しか出てこないという悪循環。

そういうときに役立つのは他人の書いた小説を読むこと。

しかしながら、一日に一冊読むような時間も取れないし、取材のために読んでいる本がとても大いので、ちょっとずつしか読めません。いま読んでいるのはこれ。

通訳 (海外文学セレクション)

著者/訳者:ディエゴ マラーニ

出版社:東京創元社( 2007-12 )

定価:¥ 2,415

単行本 ( 270 ページ )

ISBN-10 : 4488016480

ISBN-13 : 9784488016487


これはまあ、変な本なんですが、作者のディエゴ・マラーニという人がもっと変です。EUの通訳をやっていたときに、ユーロパントという人工言語を考案して、それで短編集を出したりしたそうです。

そんな短編集を出せるということは、すなわちヨーロッパ諸語がすべて近しいものだからでしょう。スペイン人とイタリア人同士がお互いの言っていることをなんとなく理解できるのもそうだし、文法の基本はほとんど一緒。津軽弁と沖縄弁ほどは違わない、と言っても過言ではないでしょう。

とはいえ、やはりこの人の小説に対する着想は卓抜しているし、それで小説を構成できるのはやはり凄いと思います。小説というのは、言葉に寄り添って創られるものだからこそ、言葉そのものを題材にするのは難しくかんじます。

ちなみに、ぼくは「キャラクターが動き出して物語が勝手に展開されていく」という言を信じていません。また、そういうことを言う小説家で尊敬できる人が一人もいなかったからです。

なんにせよ、小説を書くための生活を手に入れようとしすぎて、小説が書けなくなってしまうという今のジレンマをなんとかすべきですね。兼業作家はどうやって書いているのか、ほんとに気になります。

追記

読了しました。設定はやや衒学的ですが、途中から馬鹿ミステリーっぽい展開になってなかなか楽しめました。最近読んだ小説の中では出色の出来でした。ユリイカで若島正さんが進めていたんですが、氏の博学には敬服します。

ユリイカ2008年3月号 特集=新しい世界文学

出版社:青土社( 2008-02 )

定価:¥ 1,300

ムック ( 245 ページ )

ISBN-10 : 4791701755

ISBN-13 : 9784791701759


終わり

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